2022-01-01から1年間の記事一覧

不作為の罪                    -投資なきROA向上は製造業の競争力を低下させた-

円安、インフレの影響を実感する機会が増えてきた。最も感じるのは昼食のメニューコストが上がったことであろう。円安に伴い製造業の国内回帰の議論が盛んになっているが、労働人口減少、熟練散逸などを勘案すると現実的には相当に困難であろう。エレクトロ…

アーティストとの対話からの気付き(マネジメントの2つのアプローチ)

最近、若手アーティストの方々と集中して対話させて頂く機会が複数あり、非常に大きな気付きを得られたのでそれをご紹介したい。自分は主にビジネスの世界の住人なのでそれ以外の世界の人々と会話をすると多くの発見があると常に感じる。入社当初から出来る…

法哲学、批判的合理主義、フランケンシュタイン

すっかり日が短くなり夕方には虫の音も聞かれるようになった。昨日は20年前に亡くなった部長の誕生日であったことを先程ふと思い出した。当時はワークライフバランスなど面倒くさいことは言われなかったので、ずっと一緒でよく夜中から飲みに行き仕事や学問…

古典に学ぶ

先日、日本アスペン研究所という団体の古典に学ぶリーダシップのセミナーに参加し、とても多くの気付きを得られた。日本と海外、西洋と東洋、古今の古典を読んで議論の中から学びを得るというセミナーであり、結構しっかり事前準備をしないと議論に着いて行…

(主に企業の)研究開発に関する一考察(3) ~リニアモデルのその先に~

日本の研究開発はリニアモデルで大成功を収め、その後その成功の復讐に苦しんでいるのではないか、ということを前回書いた。戦後、日本は、技術リソースは外部を積極活用し、リニアモデルと傾斜生産で経済大国へと奇跡の成長を遂げるという大きな成功を経験…

(主に企業の)研究開発に関する一考察(2) ~リニアモデルの限界と日本の低迷の原因~

個人的に現在、企業の研究開発機能や研究所の位置づけに関して最も関心がある。特に研究の位置づけに関する『ある研究』と『あるべき研究』の関係についてである。前者に関しては、『中央研究所の時代の終焉』(中央研究所の時代の終焉 | ローゼンブルーム,…

(主に企業の)研究開発に関する一考察(1) ~基本的な問題認識の振返りと整理~

近頃、研究開発戦略について議論をする機会が増えてきた。量子コンピュータなどエマージング技術が登場していること、デジタルやデータの時代になり研究開発のテーマややり方に変化が求められていること、日本企業の短期思考(志向?)化に伴い長期目線での…

止揚、コペンハーゲン解釈、『ロックで独立する方法』

先日、会社の先輩と欧州のデータ基盤や標準化の動向に関する議論をしている際に、通説・多数説(博識な会社の後輩から有力説というものもあるがそれは海外の文献には出て来ない日本独特の考え方のようであると教えてもらった)の話しになった(小生から話し…

マクスウェルの悪魔、あるいは情報熱力学とセレンディピティ、そして通説・多数説

GW前に小生が所属している有機エレクトロニクス材料研究会、通称JOEMで「非平衡現象」をテーマとした研究会(249.pdf (organic-electronics.or.jp))があり、途中から参加した。同日パシフィコ横浜で開催されていたOPIE`22(OPIE'22 - 光とレーザーの最新技…

今=ここ文化、あるいは日本文化における時間と空間と戦略的思考

「日本人は不満に強く、不安に弱い」という指摘は様々な場面で「確かにそうかも」と思わせる普遍性があるように感じる。このGWは特に遠出はせず読書三昧であったが、そこで読んだ本でもそう感じることが多かった。日本政治論、戦後日本外交史、集団的自衛権…

「日本人は不満に強く、不安に弱い」とはどのような意味を持っているかについての考察

「日本人は不満に強く、不安に弱い」とよく言われる。その裏返しとして「欧米人は不安に強く、不満に弱い」ということも言えるのであろう。不満が新たなニーズを生みイノベーションの源泉であるとすると(「機能飢餓」はその典型例であろう)、日本人の「不…

AIの進化が「機能飢餓」に与える影響についての考察

前回、経済循環の波動のなかでAIがどの様に位置づけられるかについて私見を述べた。いくつかある経済波動のなかで最も身近に肌で感じられるのはここ数十年の技術革新の波、なかでもコンピュータと通信・ネットワークの飛躍的な進歩であろう。全くの個人的な…

メモ代わりとしてのブログ開始の宣言と一回目(波動論再考)

この度、尊敬する外部の大先輩のブログ(タイム・コンサルタントの日誌から)に大いに影響を受け、自分もブログをメモ代わりに始めることにした。基本的に自分のメモのため(かつ更新圧力による強制的なアイデア出しのため)であるが、やはり自分の頭で考え…